Water Digital

2026/3/25 21:35

今日の水の言葉

情に棹(さお)させば流される

明治時代の作家・夏目漱石の小説『草枕』の冒頭の一節です。「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」という文章の一部として広く知られています。

「棹(さお)さす」とは、川で小舟を進める際、長い棒を川底に突き刺して水流をコントロールする物理的な動作を指します。

漱石は、複雑な人間社会を川の流れに見立てました。他人の感情に配慮しすぎたり、人情を優先して舟を進めようとすると、やがて水流のコントロールを失い、激しい川の流れに飲み込まれて自分の立ち位置を見失ってしまうという事実を指摘しています。

論理(智)だけでも他者と衝突し、感情(情)だけでも周囲の水流に流されてしまう。実際の川下りにおける舟の操縦の難しさを通して、人間社会での適切な距離感とバランスを保つことの困難さを客観的に描写した文学表現です。

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