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冷却塔補給水の水質管理と処理方式の比較

工場やプラントのユーティリティ設備である冷却塔(クーリングタワー)は、水の気化熱を利用して冷却を行う装置です。水が蒸発する際、水中に含まれるミネラル分は蒸発せずに残り、循環水の中で濃縮されていきます。これを放置すると硬いスケールやスライムが発生し、熱交換効率の低下や配管の閉塞を引き起こすため、適切な補給水と水処理計画が不可欠です。本稿では、冷却塔の補給水に求められる水質と、具体的な水処理の手法について実務的な観点から整理します。


水源による補給水水質の違い

冷却塔の補給水として利用される水源は、主に水道水、工業用水、地下水に分けられます。水源によって水質特性が異なるため、水処理のアプローチも変わります。

  • 水道水: 浄水場等で適切に処理されており水質は極めて安定していますが、単価が高くランニングコストの増大に直結します。

  • 工業用水: 産業用に安価に供給されるため多用されますが、濁質成分が含まれる場合があり、状況に応じてろ過器などの前処理が必要です。

  • 地下水(井戸水): 水量・水質ともに比較的安定しコストも抑えられますが、地域によってはスケールの原因となる硬度成分やシリカ、鉄分などを多く含むため、事前の水質分析と専用の水処理設備が必須となる場合があります。


薬品添加による基本の水処理

冷却塔の運用において最も一般的な水処理は、濃縮した水を一定量排出するブローダウンと併せ、水処理薬品を添加する方法です。

  • スケール分散剤: カルシウムやシリカなどのミネラル分が配管内で析出し、硬いスケールとして固着するのを防ぎます。

  • スライムコントロール剤: 冷却塔内で藻や微生物が繁殖して形成されるスライム(バイオファウリング)を抑制します。


機械的装置による障害防止

水処理薬品の添加に頼りきらず、機械的な処理装置を用いてスケールやスライムを防止するアプローチも存在します。循環水の一部を砂ろ過などの物理的なフィルターに通して濁質を取り除くことでスライムの温床を減らす方法や、紫外線(UV)殺菌装置やオゾン処理装置を組み込んで水中の微生物を不活化し、バイオファウリングを抑制するシステムが挙げられます。

そのほかにも電気分解によりスケール分散などを行わせる装置などもあります。


【比較表】RO水・軟水を補給水とする場合のメリットとデメリット

補給水そのものからスケールの原因物質をあらかじめ除去する「軟水」や「RO水」の利用も有効な水処理の選択肢です。

水質

メリット

デメリット

軟水

スケールの主原因であるカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分を除去できるため、スケール障害を大幅に低減できる。

シリカ成分は除去できない。イオン交換樹脂の再生のための薬品(塩)コストや手間がかかる。

RO水

硬度成分だけでなくシリカや各種イオンも極限まで除去できるため、濃縮による障害リスクを極小化できる。

造水コストが非常に高い。水が高純度ゆえに溶解力が強くなり、配管等の腐食リスクが高まる。


全体最適に基づく水処理計画を

冷却塔の安定稼働には、水源の特性を正確に把握し、薬品添加、機械的処理、補給水の高純度化といった水処理技術を、コストとリスクのバランスを見極めて組み合わせる必要があります。

水処理設備の設計や運用に関する課題がある場合は、まず設備の納入メーカーなどの専門業者へのお問い合わせをおすすめします。もし、専門業者が周りにいない時や、第三者の客観的な意見を聞きたいときは、工場のセカンドオピニオンであるウォーターデジタル社にお問い合わせください。

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