シリーズ「水とビジネス」第4回 成長産業とともに歩む随伴産業

いつもこのトピックスを見ていただきありがとうございます。シリーズ「水とビジネス」の第4回をお届けします。
今回は「toB(民間・企業向け)」、つまり産業向けの水処理ビジネスについて解説します。この話題は私が一番経験を積んでいる業界ですので、出来るだけ丁寧に、そして出来るだけ多面的にお伝えできればと思います。(知っているが故に意図せず端折ってしまうこともあるので注意します。)
半導体を支える超純水と、日本企業のすり合わせ技術
toBにおける水処理ビジネスの主戦場は、言うまでもなく製造業の工場です。病院や商業ビルといった施設も含まれますが、金額規模において現在の水処理市場を牽引しているのは、半導体工場やデータセンター向けの大型案件です。
とくに近年の市場の伸びを決定づけているのが、半導体製造に不可欠な超純水の領域です。2019年頃から半導体需要の拡大とともに市場が急成長しています。現在、半導体の製造はTSMCやサムスン、インテルといった一部のメーカーに集約されて工場の巨大化が進んでおり、それに伴って付帯設備である水処理プラントの規模も莫大なものになっています。水処理企業の売上もこれに連動しており、超純水事業を手掛けているか否かが、企業の業績と利益率を大きく左右する構造になっています。
このtoB市場は、入札で多数の企業がひしめく公共事業(toG)と比較すると、プレイヤーの数が限られており、寡占化が進んでいるのが特徴です。売上規模では栗田工業が圧倒的な強さを持ち、次いでオルガノ、野村マイクロ・サイエンスといった企業が続きます。その他にも三菱ケミカルアクアソリューションズや東レエンジニアリングなどが存在しますが、主要なプレイヤーは一握りに絞られつつあります。
なぜ特定の企業に仕事が集中するのか。それは、超純水プラントは設計図さえ手に入れば真似して作れるような単純な代物ではないからです。
極限まで不純物を取り除く水処理プラントの構築には、単なる機械やフィルターの要素技術だけでなく、設計、施工、そして現場での維持管理や運転調整といった無数のノウハウを組み合わせるすり合わせ技術が不可欠です。かつての自動車産業のように、複数の技術と現場の知見をすり合わせてオンリーワンのプラントを作り上げる能力。これこそが強力な参入障壁であり、日系の水処理企業が世界で戦える最大の強みとして機能しているのです。
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