pHの読み方は「ピーエイチ」か「ペーハー」か?世代による変遷と背景

水処理施設の管理や水質分析において、避けては通れない指標がpH(水素イオン指数)です。

現場で「ペーハーを測っておいて」と指示を出すベテラン技術者と、「ピーエイチの数値は……」と報告する若手エンジニア。この呼び方の違いに、ジェネレーションギャップを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回は、なぜ二つの呼び方が存在するのか、そしてどのタイミングで変化が起きたのか解説します。

1. pHの定義と日本におけるドイツ語の影響

pHは1909年、デンマークの化学者セレン・セーレンセンによって提案されました。

当時、日本の医学や化学といった科学技術はドイツをお手本として発展しました。そのため、アルファベットをドイツ語読みする慣習が根付き、「ペーハー」という呼び方が日本の学術界や産業界でスタンダードとなりました。

1970年代以前に生まれた世代の方々にとっては、学校教育でも現場の実務でも「ペーハー」が絶対的な正解であったといえます。

2. 「ピーエイチ」への転換点はいつだったのか

国際的には、1957年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が英語読みである「ピーエイチ」を推奨し始めました。これを受け、日本国内でもJIS規格(日本産業規格)において「ピーエイチ」が正式な読み方として採用されることになります。

実際に教育現場で大きな変化が起きたのは、1980年代後半から1990年代半ばにかけてです。

  • 1970年代生まれ(現在50代前後): 教科書や先生の指導もまだ「ペーハー」が主流。
  • 1980年代後半生まれ(現在30代後半): 教科書は「ピーエイチ」に変わりつつあるが、現場の指導者層は「ペーハー」と呼ぶ混在期。
  • 1990年代以降生まれ(現在の若手): 学校教育で「ピーエイチ」としか習わない世代。

現在、私(原田)と同じ1973年生まれの方が「ペーハー」と呼ぶのは、日本の技術教育が最も成熟し、現場の叩き上げの技術が受け継がれていた時代の名残とも言える、非常に「技術者らしい」呼び方なのです。

3. 水処理現場におけるコミュニケーションの要諦

現在、JIS規格や教科書では「ピーエイチ」に統一されています。しかし、水処理の現場においては、言葉の響きよりも「正確な水質の把握」こそが重要です。

現場のベテランが言う「ペーハー」も、若手が言う「ピーエイチ」も、指し示している本質は同じです。重要なのは、pHのわずかな変動が、排水処理における凝集沈殿の効率や、設備の腐食に直結するという事実を共有できているかどうかです。

4. まとめ:呼び方は違えど、本質は一つ

「ペーハー」という響きには、日本の工業発展を支えてきた先人たちの歴史が詰まっています。一方で「ピーエイチ」という呼び方は、グローバルスタンダードに基づいた現代の基準です。

どちらの呼び方を使うにせよ、水処理の基本であるpH管理を正しく行うことが、安定稼働への第一歩であることに変わりはありません。


水処理管理に関するご相談

pH管理をはじめ、水処理施設の運用には高度な専門知識が求められます。日常の管理で不明な点や、数値の異常でお困りの際は、まずは身近な水処理の専門業者へお問い合わせすることをお勧めします。

もし、周りに相談できる業者がいない、あるいは現在の管理状況について客観的な意見を聞きたい、といった場合には、「工場のセカンドオピニオン」であるウォーターデジタル社にご相談ください。

「ペーハー」でも「ピーエイチ」でも、私たちは現場の言葉を大切にしながら、最新の知見で貴社の課題解決をサポートいたします。

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