イオン交換樹脂のゲル型とポーラス型の違いについて(再掲)

様々な分野で純水製造や工場排水処理に不可欠なイオン交換樹脂。
その性能を最大限に引き出すには、樹脂の種類と特性の理解が欠かせません。
本記事では、代表的な「ゲル型」と「ポーラス型」の構造と特性の違いを技術的な観点から解説し、最適な樹脂選定の一助となる情報を提供します。
イオン交換樹脂とは?
イオン交換樹脂は、水中の不要なイオンを除去するために使用される高分子化合物です。
樹脂内部のイオン交換基と呼ばれる部分が、水中のイオンと結合することで、イオン交換が行われます。
ゲル型イオン交換樹脂
【構造】
ゲル型イオン交換樹脂は、内部に細孔がほとんどない、均一なゲル状の構造をしています。樹脂全体がイオン交換サイトを形成しています。
【特徴】
- 高いイオン交換容量:イオン交換サイトが多いため、多くのイオンを吸着できます。
- 比較的安価
- 水に浸すと膨潤し、体積が大きくなる
- 有機物の吸着能力が低い
- 汚染や破損しやすい
ポーラス型イオン交換樹脂
【構造】
ポーラス型イオン交換樹脂は、内部に多数の細孔(マクロポア)を持つ多孔質構造をしています。細孔の表面にイオン交換サイトが存在します。
【特徴】
- 高い機械的強度:細孔構造により、物理的に強く、破砕されにくいです。
- 膨潤・収縮に強い:繰り返しの使用でも安定した性能を発揮します。
- 有機物に対する耐性が高い:比表面積が大きいため、有機物を吸着しにくいです。
- 反応速度が速い
- 高価
- イオン交換容量はゲル型に比べて少ない傾向があります。
それぞれの特徴
ゲル型とポーラス型イオン交換樹脂は、それぞれ異なる特性を持つため、用途に応じて適切な種類を選択する必要があります。
- ゲル型: 高いイオン交換容量が求められる場合に適しています。
- ポーラス型: 機械的強度、耐有機物性、反応速度が求められる場合に適しています。
イオン交換樹脂の選定や使用方法についてご不明な点がありましたら、専門業者にお気軽にお問い合わせください。
まとめ
イオン交換樹脂に関しては、工場であれば販売代理店や水処理メーカーが提供しているので、あまり困っている方は居ないでしょう。
ただ、水処理に関わる全員が全ての水処理技術に詳しいわけではありません。
専門業者が周りにいない時や、第三者の意見を聞きたいときは、工場のセカンドオピニオンであるウォーターデジタル社にぜひお問い合わせください。