水質測定における正確な採水方法と注意点

水質測定は、排水管理や工程管理、用水管理など、水処理において不可欠な要素です。測定結果の信頼性を高めるためには、分析方法だけでなく、その前段階である「採水」が極めて重要になります。
本記事では、外部機関へ分析を依頼する場合と、現場でパックテストなどの簡易分析を行う場合、それぞれの採水における注意点を解説します。
採水時の共通の基本注意事項
どのような分析方法であっても、採水時には以下の基本的な注意点を遵守する必要があります。これらは、水処理の状態を正確に把握するための第一歩です。
- 代表的な試料の採取: 測定対象の水を代表する箇所から採水します。例えば、排水であれば最終放流口、工程水であれば管理ポイントなど、目的を明確にした上で採水地点を選定します。滞留している水ではなく、流動している水から採水するのが原則です。
- 採水容器の清浄度: 採水容器は、測定対象物質や分析方法に応じて適切な材質を選び、十分に洗浄されたものを使用します。共洗い(採取する水で容器を数回すすぐこと)も重要です。
- 異物混入の防止: 採水時には、ゴミや油分などの異物が混入しないよう細心の注意を払います。容器の蓋は採水中汚染されない場所に置き、速やかに閉めます。
- 採水日時の記録: 採水日時、天候、採水者、採水場所などの情報を正確に記録します。これは、後のデータ解析やトレーサビリティ確保のために不可欠です。
外部機関への分析依頼時の採水のポイント
水質分析会社などの外部機関に計量分析を依頼する場合、試料の輸送や分析までの時間経過を考慮した採水が求められます。
- 指定容器と保存方法の確認: 分析機関が指定する採水容器や、分析項目に応じた保存剤(必要な場合)、輸送時の温度条件(冷蔵・冷凍など)を事前に確認し、遵守します。これにより、試料の変質を防ぎ、正確な水処理状況の把握に繋がります。
- 試料の量: 分析項目ごとに必要な試料量が異なります。不足がないよう、事前に確認し、十分な量を採水します。
- 迅速な輸送: 採水後は、可能な限り速やかに分析機関へ輸送します。時間経過による試料の変化を最小限に抑えることが重要です。
- 輸送時の破損防止: 輸送中に容器が破損しないよう、緩衝材を使用するなど、適切な梱包を心がけます。
パックテストなど簡易分析時の採水のポイント
現場でパックテストや簡易測定器を用いて分析を行う場合は、即時性と手軽さが利点ですが、いくつかの注意点があります。
- 測定直前の採水: 簡易分析は、採水後すぐに測定することを前提としています。試料の温度変化や成分変化が起きる前に測定します。
- 容器からの直接吸引の可否確認: パックテストの種類によっては、採水した容器から直接試料を吸引できるものと、一旦別の容器に採水してから操作するものがあります。説明書をよく読み、正しい手順で実施します。
- 反応時間と温度条件の遵守: パックテストには、試薬との反応時間や適切な温度範囲が定められています。これらを遵守することで、より正確な値を得ることができます。
- 干渉物質の考慮: 測定対象物質以外の共存物質が、測定結果に影響を与える場合があります(干渉作用)。使用する水の特性をある程度把握し、必要であれば干渉の少ない分析方法を選択することも水処理管理では大切です
まとめ
水質測定の精度は、適切な採水方法によって大きく左右されます。外部機関への依頼、簡易分析のいずれの場合においても、本記事で解説した注意点を意識し、正確なデータを取得するよう努めましょう。
水質分析や排水処理、用水処理などでお困りの際は、まず専門の業者にご相談いただくことをお勧めします。
専門業者が周りにいない時や、第三者の意見を聞きたいときは、工場のセカンドオピニオンであるウォーターデジタル社にぜひお問い合わせください。