RO膜の洗浄:性能維持と長期利用のための重要なメンテナンス

逆浸透(RO)膜は、高度な水処理システムにおいて重要な役割を果たしますが、その性能を維持し、長期的に利用するためには適切な洗浄が不可欠です。

RO膜は、原水中に含まれる様々な物質によって徐々に閉塞し、透水量の低下や透過水の水質悪化を引き起こす可能性があります。本稿では、RO膜の洗浄方法と、実施にあたっての注意点について解説します。

RO膜の汚染は、主に以下の物質によって引き起こされます。

  • スケール: カルシウム、マグネシウム、シリカなどの無機物が膜表面に析出し、固着したものです。
  • 有機物: 微生物の繁殖物(バイオフィルム)、フミン酸、タンニンなどの有機物が膜表面に付着したものです。
  • コロイド: 粘土、シルト、金属酸化物などの微細な粒子が膜表面に堆積したものです。
  • 金属酸化物: 鉄やマンガンなどの金属が酸化し、膜表面に沈着したものです。

これらの汚染物質は、膜の細孔を塞いだり、膜表面を覆ったりすることで、水の透過を妨げ、RO膜の性能を低下させます。

RO膜の洗浄方法には、主に化学洗浄と物理洗浄があります。

1. 化学洗浄

化学洗浄は、汚染物質の種類に応じて適切な薬品を使用し、膜表面の汚れを溶解・剥離させる方法です。一般的に用いられる薬品としては、酸性洗浄剤(スケール除去)、アルカリ性洗浄剤(有機物、バイオフィルム除去)、キレート剤(金属酸化物除去)などがあります。

化学洗浄を行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 適切な洗浄剤の選定: 汚染物質の種類を特定し、それに適した洗浄剤を選択する必要があります。誤った洗浄剤の使用は、膜を損傷させる可能性があります。
  • 洗浄濃度の管理: 洗浄剤は、メーカーの推奨する濃度で使用してください。高すぎる濃度は膜を劣化させ、低すぎる濃度では十分な洗浄効果が得られません。
  • 洗浄温度の管理: 洗浄剤の効果は温度によって変化します。適切な温度管理を行うことで、効率的な洗浄が可能です。
  • 洗浄時間の管理: 適切な洗浄時間を守ることで、膜への負担を最小限に抑えつつ、十分な洗浄効果を得ることができます。
  • 洗浄後の十分なリンス: 洗浄後は、膜に残った洗浄剤を完全に洗い流す必要があります。リンスが不十分な場合、透過水の水質に影響を与える可能性があります。

2. 物理洗浄

物理洗浄は、水圧を利用して膜表面の汚れを洗い流す方法です。低圧フラッシングや高圧洗浄などがあります。物理洗浄は、比較的軽度の汚れに対して有効であり、化学洗浄と併用されることもあります。

物理洗浄を行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 適切な圧力の選定: 膜の種類や汚れの程度に応じて、適切な水圧を選択する必要があります。過度な高圧は、膜を損傷させる可能性があります。
  • 洗浄水の水質: 洗浄に使用する水の水質も重要です。不純物が多い水を使用すると、逆に膜を汚染させる可能性があります。

両者は互いに補完し合う関係にあります。日常は簡易分析でスクリーニングを行い、異常が見られた場合や、定期的な公的確認が必要な場合に計量証明事業による詳細分析を行う、といった運用が理想的です。

RO膜の洗浄頻度は、原水の水質やROシステムの運転状況によって異なります。

一般的には、透水量の低下率や透過水の水質変化などを指標として判断されます。定期的なモニタリングを行い、適切なタイミングで洗浄を実施することが重要です。

RO膜の洗浄は、専門的な知識と経験を必要とする作業です。洗浄剤の選定や洗浄条件の設定を誤ると、膜の寿命を縮めたり、システム全体の故障につながる可能性もあります。

もし、RO膜の洗浄方法やタイミングについてご不明な点がありましたら、専門業者に相談することを強くお勧めします。

専門業者が周りにいない時や、第三者の意見を聞きたいときは、工場のセカンドオピニオンであるウォーターデジタル社にぜひお問い合わせください。

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